自然の摂理。

台風が接近し大雨が降るなか、台風に向かっていくように移動。幸いにして交通機関はおおむね順調で、ずんずんと進むうちに雨雲を抜けて小雨になった。荒天に見舞われなくてよかった、と思いきや、夜半からは暴風が吹き荒れていたらしく、海沿いの道路は飛び散った葉っぱや小枝が散らばっている。

空は時折晴れ間も見え始めて、空気も真夏のそれから初秋のそれに変わりつつある、遠くの景色は素晴らしい。それなのに足もとは風雨の影響で散らかっていて、自然が甘くないことを知らしめてくれる。

その土地土地で、自分の持ち場をがんばっている人がいる。この2年間は今までに会ったことのないいろんな人と邂逅したなと振り返る。単一の業界に老年までいれば交わることのない世界で、触れることのない価値観だったろう。複数のモノサシを持つことで、何度でも人はやり直せるのだ、と我に返ることができる。

行き詰まることなんて必要ないんだよ、生きているだけで充分なんだよ、と先に逝った人に伝えたい。夜になって、海は穏やかになり、驚くほど静かである。