トリップ。

温泉に行く。サウナがあったので入りにいく。サウナは好きだったのだが、Covidが蔓延してから遠ざかってしまっていた。熱いな、と思いながらサウナを抜け出して、少しシャワーを浴びてから水風呂に入ると、やがて頭がクラクラしてきた。水風呂から上がっても、フラフラしてまっすぐ歩ける気がしない。


水風呂は、蛇口につながれたホースから勢いよく水が放たれ続けているのだが、果たしてどこの水を使っているのだろうか。こんなにトリップしてしまうのは間違いなく水のせいである。はっきり言って全くもって観光地ではなく、交通の便もめちゃくちゃ悪いところにあるのだが、知る人ぞ知る名湯(もとい、名水?)なのではないかと思わされる。浴場自体のキャパシティは狭いので、これが有名になっては、逆に顧客満足を損なってしまうだろう。


ラクラして、もうこのまま心臓が止まってしまってもいい、という多幸感に包まれる。人生においてわかりやすい幸せの瞬間よりも、こういう何気ないささやかな幸せのほうが、意外にも時を経ても記憶に残っているものだ。期せずしてそんな一夜になった。