聡。

王将戦を観戦して、将棋熱が再燃してきている。藤井聡太四冠がこれで五冠に王手をかけた。渡辺明三冠もいま脂ののっている実力者であることは間違いないが、それでも勝てない。一手の緩みで形勢は崩壊してしまう。


わずかな形勢の振れ幅から、もうこの一手しかない、という細い糸をたぐり寄せ続けて、勝利にまでたどりつく様をなんと形容したらよいだろうか。


まだ想像もつかないような数十手先の終盤の図盤をイメージして、今のうちに布石を打っておく。魅入られたようにその布石が後になって生きてくる。そして一枚の歩の余しもなくぴったりの詰みへと収束する。そのような奇跡をどう受け止めればよいだろうか。


19歳で五冠となることになれば、次は羽生善治25歳七冠にどこまで肉薄するかが焦点となる。藤井四冠はA級には順調に昇級するだろう。そして、もしかすると羽生先生が今季限りでA級から陥落してしまい、両者が順位戦で相見えない、という寂しいことにもなりかねない。ぜひ、羽生先生には底力を見せてほしいところではある。しばらくは、将棋の結果が気になる毎日になりそうだ。