西のプリンス。

山崎隆之八段、棋聖戦にて藤井聡太八冠に挑戦。これを聞いてなんとも懐かしい気持ちになる。15年ぶりのタイトル挑戦。15年前といえばかなりの勢いで将棋にのめりこんでいた頃である。

 

15年前、王座戦でのタイトル挑戦は、充実しきりの羽生善治を相手としたものであった。山﨑もまだ新進気鋭と呼んでもよい若手だったが、当時の絶対王者には歯が立たずストレートでの敗退。しかも、第二局では優勢と思われる局面で投了してしまい、羽生王座から叱責にも似た言葉を受ける、という屈辱にもまみれた(後の棋譜解析では、確かに羽生勝勢であることが証明されてはいる)。

 

あれから本当に長い年月が過ぎ、羽生九段もベテラン真っ只中、成績にも若干の翳りが見られるようになってきた。そして山﨑八段も、中堅と呼ばれる年代から、さらにその先に足を踏み入れようとしている。時代は言わずもがなで藤井聡太のものであり、そこに若い世代の棋士たちがどんどん出てこようとしている。そんななかで、彼がどんな輝きをタイトル戦で放つか、時のスターにどのように一矢報いるか、刮目して見届けたい。