伝説の棋士。
藤井聡太四段、デビューから28連勝となり、歴代の連勝記録に並んだ。まさに驚きのひと言である。いつかは連勝記録も途切れるのであろうが、彼がいつタイトル戦に挑戦するのか、羽生三冠とはいつ初顔合わせとなるのか、楽しみでしょうがない。藤井四段はこれまでの連勝について「僥倖」という言葉を使っていたが、まさに将棋界にとって、この連勝は僥倖そのものであろう。
そして時を同じくして、1人の天才棋士が現役を引退した。加藤一二三九段である。奇しくも藤井四段のデビュー戦の対戦相手となった同棋士は、一昨日の対局に敗れ、規定により引退となった。
最後の対局もまた、印象深いものであった。加藤九段は投了を告げると、感想戦も行わずに一目散に将棋会館を後にしたとのことだ。心中のほどは分からないが、加藤九段の性格からすれば、おそらくは非常に悔しい思いでいっぱいだったのだろう。
数々の功績よりもなによりも、77歳の引退を目前にした棋士がそれだけの負けん気をもって対局に臨んでいるということに、これまた驚く。やはり彼は伝説の棋士と言うほかないのだと思う。そして負けん気の強さという意味では、藤井四段はその後継者となるのだろう。