温。

「新しい資本主義」のことをずいぶんと懐疑的に見てきたけれども、少し考えを変えてみた。


というのも、「(新しくない)従来の資本主義」を突き詰めると、日本はおそらくはいまの韓国のような状態に近づいていくことになるだろう。韓国は総体でみれば、経済的にも日本を追い越し、豊かになってきているが、ミクロな国民生活を取り上げると、全くもって幸せそうには見えない。さらには、出生率の低下により国としての持続可能性もたいへん危うくなってきている。


おそらくまだ日本が比較的安穏とした生活が送れる国であることは、資本主義が浸透した社会ではないから、という見方もできるだろう。ただ、それもまた持続可能なものではないのかもしれない。イタリアやスペインのように、経済的には停滞しつつも、一芸に秀でてなんとかそれで食っていく、というのが日本のたどる末路なのかもしれない。


「新しい資本主義」などという言葉にはまだ生温さがある。これからもっともっと日本は悩み、壁にぶち当たることになるだろう。その先に、世界でいちばん早く、本当に大切にすべきものの解が見つかるといいのだが。