オーバーラップ。

36歳にもなって、電車のなかでアタマをなでなでされた。嬉しくてこそばゆい時間である。


最近いろいろな人とお別れのあいさつをすることが多いのだけど、その瞬間にどれだけ気持ちがこもるが否か、というところは、何度向かい合って食事をしたか、に比例する部分もあるな、と感じる。たとえ大きな案件を一緒にこなした人でも、食事の席をともにしたことがなければ、意外とあっさりとした感じになるものだ。


食事をしながら語りあった話は、年月が経っても忘れないものだ。その話が、人生の急所をつくものであればなおさらである。その言葉は、つらいときや壁にぶちあたったときにひょっこりと顔を出して、背中を押してくれる。


忘れてはいけないことがたくさんある。いまはそれはひとつひとつ丁寧にノートに書き出して、後から取り出して思い出せるようにしておくことだ。


12年前にかけてくれた言葉がいまもオーバーラップしてくる。自分のことを大事にしてくれる人のことを、自分もまた大事にしなければならない。