牛焼肉弁当。

いまとなっては分裂してしまい、住んでいる周りではほとんど見ることもなくなったほっかほっか亭のお弁当を久しぶりに食べた。黄土色の容器も昔と変わっていない。


土曜のお昼など、母親が食事を作りたくないとき、外から帰ってきてごはんを作る時間がないときなど、よくこの黄土色の容器のお弁当を食べた。友だちが住んでいるマンションの一階に店舗が入っていて、家族の人数分のお使いにいったことも何度もある。だいたい牛焼肉弁当を食べたもんだ。独特の甘辛いタレが最後に残るので、それを残った白米に浸して食べるのがこれまた美味かった。中学生くらいになると家の冷凍庫に残ってあるごはんをレンジで解凍しておかわりしていた。


子どもの頃に美味しいと思って食べた食事の記憶もなかなか忘れないもんだなと思う。人生の後半戦は、思い出を反芻して噛みしめることも増えてくるのかもしれない。記憶を呼び起こすポイントは隠されていて、ふいに飛び出してくる。