霧雨の記憶。

きょうは1日、霧にけぶった雨が降り続いた。梅雨らしい大雨は朝のうちに終わったが、午後になっても、アメダスでは捉えられない細かい雨が降り続いた。雨粒が軽いのか、風にあおられながらさながら舞い落ちてくるようであった。

霧雨で思い出すのは、ベトナムのサパである。卒業旅行でベトナムから中国に向かう道のなかで、2泊ほど立ち寄った小さな街だ。中国国境手前のラオカイという街から、ミニバスで山道をひたすら登ること2時間で到達する。

サパの街は標高1,500メートルを超え、古くから避暑地とされてきた。訪れたのは2月、ハノイでは25度を超え快適な気候だったが、サパではなんと吐く息が白くなる。おまけに1日中あたりは一面の霧雨に覆われている。夏物しか持ってきていなかったので、凍えそうになりながら付近の少数民族の村を見てまわった。こんな気候のなかでも、少数民族の人たちは裸足で働き、村の祭りに参加していた。

2泊して、山を下りていった時の、ぐんぐん気温が上がり身体に温かみが増していく時のえもいわれぬ幸福感もまた、忘れられない大切な思い出だ。