北へ。

底冷えのするなかを北の方角に向かう。灰色の空からザッと霰が降るような天気だ。少し早目に着いたので、街で唯一のタワーに登る。けぶっていて、なかなか幻想的な光景に邂逅する。

アポイントをいくつかこなす。びっくりするような人との再会があったり、ほとんど歳が変わらないのに、非常にオーラのある方に接したり、本当にさまざまな経験をさせてもらう。久しぶりに、中途半端な覚悟で接すると全て見透かされて吹っ飛ばされるような人と接した。自分自身の準備不足を悔やむとともに、いつかどこかでこの人とディールをしたい、という願望がむくむくと湧いてくる。

ミッションを終えて、魚市場の立ち喰い寿司の暖簾をくぐる。大将がテンポよく握ってくれる握りをつまむ。外は再び大粒の雨が降ってきた。あしたは雪になるのかもしれない。雨音をBGMにして、何度繰り返したかわらないけれども、来し方に思いをはせる。何度考えても、全てのことには意味があっていまに繋がっているのだと思う。