心の壁。

エヴァのなかで「ATフィールド」というものがあった。作中で渚カヲルはATフィールドのことを、「誰もが持っている心の壁」と表現した。

とある僕の友人は、「間合い」をコントロールすることに長けている。普段の彼は控えめで、相手のことを尊重した節度のある立ち振る舞いをするのであるが、時に相手にぐっと近づくことがある。文字通り距離を縮め、精神的にも近づいていく。端から見ていると、相手が「心の壁」を緩めた瞬間にぐっと近づいていくように思う。むろん、人の「心の壁」が完全に解放されることはないし、いきなり近づかれると多少なりとものけぞってしまうのだが、「心の壁」の緩め具合によっては、近づけれても許容できるラインが生まれる。彼はそのギリギリのラインをついていくことに非常に長けている。

相手にぐっと近づくことによるメリットはたくさんある。仕事に生かせられることもあるし、望む交友関係を築くこともできるだろう。人の心を掴む、ということに近い。普通ならば嫌われてしまいかねないような言動も、なぜか大目に見てもらえたりもする。

僕から見ると羨ましいけれども、こればっかりはなかなか後天的に身に付けづらいセンスなのだと思う。まぁ、しょうがない。持って生まれた武器で戦っていくしかない。