MLBとNPB、金銭感覚。
プロ野球のFA制度について、1年前にも同じようなことを書いた記憶があるが、今年もまた思ったことを書く。
去年のエントリーでは、FA制度がマネーゲームを助長していると書いたが、今年のFA権行使事情を見る限りは、日本のFA制度は、その本来の目的である、選手と球団の双方が求め合う関係を築ける移籍を実現するためのツールとして、定着しつつあるように思う。選手の側にも、FA制度を年俸を吊り上げるツールとして使うことは、短期的には高年俸を得られても、長期的には選手と球団の関係を損ない、最終的には選手自身の首を絞めかねない、ということが広く認識されてきたように見える。
そもそもの話として、プロ野球選手の世渡り力や金銭に対するリテラシーが向上していることも大きいはずだ。野球さえできれば他のことはなにもできなくともよい、などという時代ではない。本当に野球しかできなかった選手が、野球を辞めて以降路頭に迷ったり、自分を見失ったり(そういう生き方は頭ごなしに否定されるものでもないが)ということを見てきて、今の選手は現実をよく見据えている。
そうなれば今後も、米国メジャーリーグのように選手の年俸が高騰し続ける可能性は低そうであるし、年俸に対して強くこだわりを持つ選手も増えることはなさそうだ。進化の果てにここに行き着いたとするとなんとも日本らしい。