蘇生。

(昨日の続き)やがて本格的な山岳コースに入ると、ぐっと気温が下がってきた。雨は降り続いているので、ウェアも濡れっぱなしで体温を奪う。手もかじかんでくる。ここで体調を崩してしまっては完走どころか命にかかわると思い、無理せず身体と対話しながら登る。折り返しで温かいものでも食べてゆっくりしようと考えながら、寒さに耐えて登る。

晴れていれば暑さを感じて、雪壁を触って冷たさを楽しむところだが、この天候ではそびえ立つ雪壁は恨めしい存在でしかない。それでも折り返しの大雪渓が見えてくると、オアシスにたどり着いたようにホッとした気持ちが湧いてきた。差し出される温かい飲みものでようやく人心地つく。

下りは走りたいところだが、身体が冷えてうまく動かない。のんびり行けばいいやと歩いているうちに、少し雨も弱くなってきたようで、身体が温まってほぐれてきた。身体が蘇生していくかのように復活していき、下りは走り続けることができた。自分の身体ながらこのメカニズムはよくわからない。

去年よりまた少し早いタイムでゴール。ずっと快調だったのに、最後の100メートルで脚が攣ったせいで、感動が少しぼやけてしまったが、満足感でいっぱいのゴールだった。