創業期。

いま勤めている会社の創業期を知る人と、食事をする機会があった。僕から見れば、非常に頭が切れて、ものごとの本質を見極めることに長けている人だ。

いわゆるベンチャー企業と呼ばれていた時代の話である。少ないスタッフで、1人何役もの仕事をこなしていく。単に仕事の量が多いだけでなく、多種多様な仕事に都度頭を切り替えながら次々に取り組んでいく。当然のことながら、心や身体を壊す人も続出したし、人の入れ替わりも激しかった。そこから比べれば、ここ数年なんてものは「凪ぎ」の時間のように思える。

あの頃の時間をともに過ごした人たちは、今でも定期的に集まっては旧交を深めるのだと言う。大変な時期を乗り越えた仲間としての結びつきには特別なものがあるのだろう。それはちょっぴり羨ましくも感じる(しかしながら、自分自身がそんな頃を乗り切れたタマであるとも思えないが)。

どんな会社にも創業期があり、そこには踏ん張った人の存在がある。むしろ、そういう人がいなければ会社は創業期から成長期、成熟期にはなり得ないのだと思う。当たり前のようだけど、そんなことをとんと忘れていたことに気づく。