沈殿作業。

暑さが引いてから、飲み会のない日は寝付くのが早くなった。ほとんど日付が変わる前には寝ているし、下手すると22時台に寝ている日もある。歳を取ったのもあるけれど、たいていは眠気に抗えなくなってきてのものだ。

1番の原因はiPhoneにある。以前は新聞や雑誌から取っていたニュースもコラムもほぼ全て手元で読めるようになった。1日のうち2時間近くをかけて、僕はいろんなサイトから情報を取っている。しかもそれが移動中や待ち時間などの細切れ時間でできるようになった。

それはそれで便利になったのだが、そうなってしまうと、僕の日々の時間は、「iPhoneを見つめている時間」と「PCを見つめている時間」と「他のなにかに向き合っている時間(人と話したりetc)」で占められるようになった。お風呂に浸かっている時も「iPhoneを見つめている時間」に含まれるようになった。そうして減ったのが、「なにものにも向き合わない時間」である。いま、1日のなかでそのような時間は、歩いている時と自転車に乗っている時だけになってしまった。

以前であれば移動中や待ち時間も「なにものにも向き合わない時間」であったが、その時間にも、脳には情報が流れ込んでくるようになった。昔は人と会った後などは、もう一度会話の内容や自分のふるまいなどを反すうすることが多かったが、その機会が減ったように思う。無意識にiPhoneに目を落とせば、今まで目の前にあったことから切り替えられる。

この反すうするという行為が減ったことが、脳には負担になっているのではないかと思っている。目の前にあったことを自分で再度解釈して、なんらかの結論を付けなければ、脳の中には処理されないままの経験や情報が蓄積していく。結論付けをせずに頭のなかでもやもやと考え続けたほうが良いことがあるのも確かだが、そういうことをたくさん脳内に放置しておけるほど、僕の脳は高機能ではない。

なので、夜になると脳が疲れてきて、早い時間から眠気が襲ってくるようになる。寝ている間に、脳が溜まった情報や経験を整理整頓して、圧縮し格納してくれるのだ。朝自然に目覚めると、頭はすっきりとしていて、また新しい情報や経験を受け入れられる準備ができている。

これが睡眠時間が短かったり、目覚ましに起こされるようになると朝の目覚めが良くない。目覚めが良くないというのはすなわち脳内の整理整頓に積み残しがあるということだ。こうなると、どんなに気合を入れて頑張っても、その1日のパフォーマンスは下がってしまう。処理能力やパフォーマンスの低下度には個人差があるが、僕は正直この能力は低いので、意識してちゃんと休むようにしている。