前を向いて。

4年ぶりに都内の名店の焼き肉店へ。コロナ前は年に1⁻2回行っていたがいろいろあってすっかり足が遠のいてしまっていた。

変わらぬお店のたたずまい。ご一家で切り盛りされているのも変わらない。もちろんお肉の質も変わらなくて、口のなかに入れると無言で味を堪能してしまう。良い脂が口中に広まる。10年前から変わらない、とっておきの時に使うお店がコロナ渦をくぐりぬけて今も残っているのは本当にありがたいことだ。

ひとつだけ、大将の姿が見えないと思って聞いてみると、2年前に他界されたとのこと。それでも変わらずにお店を続けていくことには頭が下がる。お肉が素晴らしく美味しいこともそうなのだが、お店の人たちの所作が丁寧で、焼き肉店を営んでいることへの誇りがにじみ出ていて、気持ちが良くなる。プロの仕事とはかくあるべしといつも思わされるのである。

名実ともにコロナは去って、また前を向いて走っていける、としみじみと噛みしめた夜であった。