タクシーで抜け出して。

三ノ宮にて数年ぶりの人と会う。それまではあまり深いつながりがあるわけでもなかったのだが、自分のことを覚えてくれていて、再会を喜んでくれるのは純粋に嬉しいことだ。

連れていってもらったお店の魚がたいそう美味しかった。生け簀で泳いでいる魚をそのまままるごと捌いて出してくれるのである。美味しくないわけがない。カサゴとカワハギを食べさせてもらったが、普段の居酒屋でもなかなか出てこないレベルの味だった。店名にもなっている魚が食べられる季節になったらまたぜひ足を運んでみたい。

相手方から昔の話をいろいろと聞く。当然なのだが、関西という地で修羅場を何度もくぐってきた人の話には凄みがある。敵に回してはいけない人だらけだ。そのなかで上手く泳いでいく術を自分としては身に付けてきた自覚はあるし、東から出張ってくる者どもには負けていられないという思いもある。関東で暮らした時間が長くなっても、そのスピリッツは不変なんだなぁと自分で自分のことを再発見する。

早めに切り上げてタクシーに乗って帰る。タクシーをつかまえるまでの、東門街あたりの独特の空気感が懐かしい。この感覚久しぶりだ。昔もよく、北新地あたりから新大阪までタクシーに乗って帰ったり、新大阪まで、と運転手さんに告げつつ梅田で降りてJRに乗って帰ったり、いろいろとあったなぁと思い出す。また、あんな日々が戻ってくるのは嬉しい。やってやろうじゃないかという気になる。