新しい街。

昨日は日吉駅から通勤してみて、きょうは元住吉駅から電車に乗ってみた。午前中は休みをとって溝の口周辺まで住所変更に伴う諸々の手続を済ませた。溝の口までは自転車で15分。日吉や元住吉もゆっくり走って15分。さらにもう少し足を延ばせば武蔵小杉。逆に向かえば宮崎台や鷺沼。おおよそこれらの地点を結ぶ多角形のエリアが、自転車で駆け回るゾーンになる。これからも、自転車と仲良くする生活になりそうだ。

昔NHK教育のテレビ番組で『たんけん ぼくのまち』という社会科番組が好きだった。チョーさんが愛用の自転車で街を駆け回り、見たことや学んだことを最後に一枚の地図に仕上げるという番組である。最終回のシーンは今でも鮮明に思い出せる。それほど今も僕にとって大きなインパクトを残しているのだろう。地図マニアになったのもこの番組が発端と言っていい。

新しい街に引っ越すと、まず家の周りを自転車で駆け回りたくなる。そうして、どんどんその土地を自分の感覚で掴んでいく。それがたまらなく楽しい。出張で知らない街に行くときも、できる限りタクシーよりは、自転車を借りたり、公共交通機関で移動するようにする。点と点だけでは見えてこないその街の一面が見えてくる。ひとつでも、ふたつでもその一面を知ると、少しその街が自分のものになったような気になる。仕事がら、そんな街がこの4年間でかなり増えたのはちょっと嬉しい。

東京という街は大きすぎて、未だに全体を捉え切れていない。まだまだ知らない場所がたくさんある。街の大きさによって、僕の感覚で捉えきれるのにかかる時間が違うのだろう。そしてそのスピードを無理に早めることもできないのだと思う。

昨夜、日吉駅から自宅まで自転車を走らせた。慶応のグラウンドは既に静まっていて、ラグビーのポールが暗闇ににょきっと生えている。日吉のエリアはこんもりとした丘の上にあって、細かなアップダウンが続く。蟹ヶ谷というピークの地点を過ぎると、自宅まではなだらかな下り坂が続く。普通の自転車でも時速40キロ以上出せそうな道。下り坂の向こうに、溝の口方面へと続く人家の明かりが夜景として浮かびあがる。改めて、新しい街に来たことを実感する。