邂逅。

詳細は言えないのだけれども、きょうは今までに足を踏み入れたことのない場所を初めて訪れた。年甲斐もなく緊張して、何日も前からこの日のことを指折り数えていたのである。

ある一定の限度を超えて緊張をしてしまうと、わたしはIQが普段の半分程度に落ち、自分でも支離滅裂なことを言ってしまうことがある。この歳になって動じるようなことはかなり減ってきたのだが、それでも閾値を超えると相変わらずな自分がいることを再認識した。

しかしながら、一歩その場に足を踏み入れてみると、なんだか懐かしい感覚に包まれて、自分に力が宿ったような心持ちになった。やはり、なんだかんだいっても自分の原点のひとつではあり、自分を構成する大切な1ピースだったということなのだろう。あの頃に積み重ねたことがいまの自分に生きているのは間違いない。

意外にも緊張もほぐれて、つつがなく滞在を終えることができた。長年、くぐることに躊躇していたトンネルをようやくくぐれたような、そんな憑き物の落ちたような気になった。この歳になっても、まだまだチャレンジできる。立ち止まっている暇はないんだ、と10数年前の自分が語り掛けてくる。