冬の雨上がり。

朝から予想外の雨。寒々しさが一層増す。都心とは逆に向かう電車に乗り、通いなれた駅のロータリーに降り立つ。

久しぶりに身体じゅうの毛が逆立つような緊張感に包まれる。久しく感じていなかったような感覚だ。最悪の事態を想定して、そうなった時にでも自分が崩壊しないように、と予防線を張る癖がある。そこそこ悪い結果に終わったとしても、ああこの程度で済んだ、と胸をなでおろすことができるからだ。今回も、一瞬ドキっとはしたものの、ほぼ取り越し苦労に終わってほっとする部分はあった。

複雑なオペレーションを、ひとつずつ丁寧に確認しながら処理してゆく。けして急がず、かみしめるようにペンを走らせる。どんなに大変な道のりにも、いつかゴールは訪れるし、トンネルを抜ける時がある。その時の爽快感のために黙々と歩いていると言ってもよい。

水中から抜け出して、思いっきり地上の空気を吸い込むような幕切れ。いつしか雨は上がって晴れ間が見えている。空気中の塵が全て地面にたたき落とされて、いつもより世界が清浄に見える。