安全基地。

平日、実家の近くまできたのでふらっと立ち寄る。あまり時間もないので、出先からタクシーを使う。タクシーに乗っていると、湿気がたっぷりこぼれそうな雲からスコールがざっと降ってきた。

支払いを終えてタクシーを降りると途端にメガネが曇った。湿度が異様に高くなっている。ざっと打ち付ける雨と、まとわりつく空気をくぐり抜けるように玄関へと急ぐ。

食事を用意してくれていたので、ありがたくいただく。見たところ地震の影響はないようでひと安心。古い長屋が密集している地域なので、火事が起こってしまうと大変な場所である。

わずか30分の滞在だったが、リフレッシュして家を出る。何歳になっても、家を出るときはちょっと複雑な気持ちになる。何歳になっても、子どもは子どもであり、実家は安全基地のようなものなのだ。

僕もまた、自分の子どもにとっての安全基地でありたいものだと思う。疲れはあるのだけど、なんだかいろいろな気持ちが交錯して眠れない帰りの新幹線である。雨が窓を打ち付ける。