力餅。

ふらっと久しぶりの街を歩いていると、町中華のような食堂に出くわした。おそばと赤飯がどうやらウリのようである。


一昨年だったか、母親の実家のある駅に降りたったときに、商店街を散歩していて力餅食堂を見つけた。母親の実家に訪れたときによくお昼を食べていた場所だ。母方の祖父母が相次いで亡くなったのは僕が5歳と6歳の頃で、足しげく通っていたのもその頃までだったように思う。そうなるともう35年くらい前の話なのだ。


力餅食堂はチェーン店のようでチェーン店でない、のれん分けによって多店舗展開している食堂で、自分自身の実家の近くにもあった。赤飯も美味しいし、おはぎも美味しい。古き良き時代の記憶として残っている。


事業承継難で力餅食堂もどんどん減っているという。30年も40年も経ってお店が残り続けていること自体が奇跡のようなものなのだ。すべからくそういうものが消え去ってしまうのか、経済合理性とは別のところで未来に向かって残り続けるのか。願わくば、後者のような生き方ができる世界であり続けてほしいものだが。