儚さ。

久しぶりに、夜間時間帯の飲食店に行った。食堂でお酒も少しは出している、という類の店だったので、我らの他にもぽつぽつとお客さんは入ってきて、それぞれに夕食を摂っている。確かに、自炊の習慣がない人が毎日コンビニ飯やお弁当というのも辛いだろうから、こういうお店の需要は消えないはずだ。


さんざん叩かれ続けた飲食業界だけれども、どのお店もよく我慢しているな、と思う。日本の飲食業はクリエイティブさでは世界でも有数だけれども、悲しいかな業界で団結して政治力を持って行動する、などということがない。飲食は、平時から開業率も廃業率も高いことが原因なのかもしれない。みんな、いつかは死ぬことを念頭に置いて商売をしているから、こういう非常時になっても、誰が悪いと糾弾するでもなく、ひっそりと店を畳んでいくのだろう。なんとも儚い感じがする。


家賃の高い地下街や路面店などは軒並みテナントがすっぽり抜けてしまった。あと数年経ったら、この光景はどう変わるものだろうか。不死鳥のように蘇り、もしくは新しいプレイヤーが席巻するのだろうか。どちらにせよ、挑戦する者にリターンがくる時代なのは間違いない。