意味。

なんか久しぶりに4月のことを思い出して悲しくなった。あの時は、むこう10年くらいはこの悲しみを引きずって生きるのかな、とも思っていたのだけど、案外人が悲しみを消化するのは早いものなのかもしれない。それでも、ふとした瞬間に悲しみがぶり返すと、正気ではいられなくなる。がんばって、みないようにしていたお化けを指の隙間から覗いてしまったような気分だ。


悲しみが完全に癒えるようなことはない。それは、また別の喪失感に襲われた昨年もそうだし、一昨年の悶々とした閉塞感もまた同じである。ある一定の年齢を越えると、毎年その形は違えど、いつもなんらかの辛さを人間は引きずって生きるものなのかもしれない。


辛さや悲しみに出会うことは悪いことばかりでもなくて、人の痛みが分かるようになる、ということはある(それが人に優しくなれる、とまでは言わないが)。マネジメントの位置に立つ者にとって、人の痛みが分かることはいまや大切な素養である。そういう意味では僕などは、痛みを抱えるような人にも心ない言葉をぶつけてしまうこともあって、まだまだ悲しみの経験が足らないのかもしれない。全て経験することには意味があるのだと思う。