回収。

仕事をこなした後、友人とつくばで落ち合った。真冬の夕暮れ時である。


学生時代にバイトしたことのある、学生向けの安居酒屋にはいった。店の中はあの頃となにも変わらない。食べものの味も変わらない。とたんに懐かしさが広がった。大将は80歳になるのだという。思い起こせば、大学に入学する前、学生宿舎への入居を終えた日の夜の飲み会もこの居酒屋だった。もう時効だから言うが、生まれて初めてまともに酒を飲んだ(高校時代はおおむね真面目だったのだ)、カルアミルクだったか。それでものの見事に気持ち悪くなってトイレで吐いてしまったのである。そんな情けない思い出も含めて懐かしい。良い思い出ばかりでもないが、いまとなっては全てが糧になっている。


居酒屋を出て、めっきりと冷え込んだ道をてくてくと歩き、雰囲気のよいパブにたどり着く。少しずつ、大学時代の忘れものを回収しながら、つくばの夜が更けてゆく。変わってくものと、変わらないものがある。