イモ公方。

西郷どん」を年初から見ている。ストーリーはまだまだ序盤なので、それほど心踊るものでもないのだが、人物描写が面白いのでついつい見てしまう。

なかでも面白いのは、又吉直樹演じる13代将軍家定である。もともとから病弱であり、短命に終わった家定は、史実上も見るべき功績はほとんどなく、脳性まひを抱え精神的にも問題があったと見るむきもあるのだが、そのような人物をいきいきと描き出している。

今回のドラマでは、動物への慈しみを持つ姿を見せたり、病に倒れる直前にも、周りの人への優しさを見せている。将軍として、武士としては秀でた人物とはほど遠かったのだろうが、人間としては大いに魅力を持った人物という形で光が当たられている。そういう描き方はなんとも粋なことだと思う。

どんな人にも、この世に生まれてきた意味があるし、必ずその意味を遺してこの世を去っていく。そう思ってドラマを見ると、無味乾燥に見えた出来事の羅列にも躍動感が与えられる。