熱量。

とある街で朝から晩までかかりっきりの仕事を終えて、隣県へ移動する。いったん家に帰ることもできるのだが、どうせこの時期は夜の電車も混んでいるし、またあくる朝満員電車に揺られて出るのも辛いものがあるので、泊まりにした。


しんと冷え込んだローカル線、目的地に向かう列車がくるのはまだまだ先だ。逃げ込むスペースもなく、どんどん気温が下がっていくなかで時間をやり過ごす。ある一定より寒い場所にいると、もうなにをする気力もなくなって、ひたすらネットサーフィンをするくらいだ。ノートを取り出してきょうのことを書きつけたり、身の回りの整理をしたりということも億劫になってしまう。


やがて列車が到着し、暖かい車内にてひと心地つく。じんわりと血のめぐりが良くなっていくのがわかる。もうだいぶ遅い時間なので、ホテルに着いたらお風呂に入って寝るだけにしておこうと、列車に乗っているうちにこまごまと手を動かしておく。外は真っ暗闇で、世界からどんどん熱が吸い取られていく。