サンセット。

少しずつ日が長くなってきて、先日の保育園のお迎え時などは、まだ空が明るかった。少し得をした気分で、自転車にまたがる。

保育園から家までの長い道のりは、息子にとってたくさんの車と出会う場所だ。行き交う車の種類をどんどん告げていく。そのうちに気分がよくなってきたのか、「はたらくくるま」の歌を唄いはじめる。僕もつられて唄いだす。

帰り道は西に向かって自転車を漕ぐので、沈みはじめる夕陽が僕らを照らす。強い光が真正面から差し込んできて、視界が狭くなったように感じる。僕らは太陽に向かって帰っていく。

息子が聞く。「ママはおうち?」と。「ママはおしごとから帰る電車のなかだよ」と返す。iPhoneのアプリを開いて、妻が乗っているであろう電車の位置を確認する。最寄駅でちょうど鉢合わせることになればちょうど良い。

大きな国道をまたいで渡る橋の上に出る。ようやく太陽が国道の向こう、地平線に沈んでいくのが見える。なんでもない瞬間だけれども、たぶん忘れない瞬間だろう。願わくば、息子もこの瞬間を覚えていてくれるなら、幸せなことこの上ない。