囲碁界のルビコン川。

韓国の囲碁棋士イ・セドル九段とアルファ碁の五番勝負は大変な話題になった末、アルファ碁の4勝1敗で幕を閉じた。この結果をどう捉えれば良いだろう。

アルファ碁が開幕局から3連勝した内容は、新しい囲碁の世界が開けたと言っても過言ではない。おおよそこれまでの人間の発想になかった部分、もしくは感覚の世界だとみなされていた部分に、アルファ碁がズバリと切り込んだ。素人目にも、囲碁界が受けた衝撃は大きかったように思う。

イ・セドル九段が一矢報いた第4局は一転して、アルファ碁の脆さが露呈した内容でもあった。混乱した局面では、コンピュータ将棋でもよく見られる意味のない手が見られることもあった。その絶対数は少なくなっていくものの、依然としてAIが苦手とする場面も残り続けるのだろう。

この一週間で囲碁界を取り巻く状況は大きく変わったが、それはけして悪いことばかりではなく、逆に得られたものも多かったはずだ。将棋が好きな自分としては、羨ましささえ感じる、囲碁界のルビコン越えだったと思う。