さくら。

晴れて新年度入り。思いを込めて新しい一歩を踏み出す人が街に増えて、なんとなく僕も浮ついた気分になる。新年度入りに示し合わせたように桜も満開に。このタイミングで桜が満開になるのは偶然の産物だろうけど、この時期に年度の区切りを持ってきたこの国はなかなか先見の明があるのかもしれない(そしてもっと言えば、新年度入りしてちょっと疲れが出た頃にどかんと大型連休が入るカレンダーの妙もまた上手くできている)。

年明けからの最高気温の積算によって、桜の開花は予測されるらしい。地方によって当然ながら桜の開花にはバラつきがあるが、同じ街なか、もしくは桜並木の木々はみな同じ時期に一斉に花を咲かせる。たとえ大雪があった年でも、大地震があった年でも変わらず、日々の気温の刻みを感じ取って必ず花を咲かせる。

長い人生、心が折れる時期もある。ただ、そんな時にもコツコツやることを積み重ねていけば、いつかは花開く時が来るはずだと、毎年繰り返し咲く桜の姿を見ているとそんな気にさせられる。花見らしい花見はここ数年していないけれど、街に野山に咲く桜を見るたびに、なんとも言えない思いがこみ上げてくる。たぶんこみ上げてくるものは十人十色あって、みなそれぞれにその思いを感じたくて、人は桜を見るのだろう。