美徳。

貯金は美徳であり、投資なんてギャンブルと同じだ、なんて思っている人がいまだに多い。その昔は銀行よりも証券会社のほうが格上、という風潮もあったが、ここ十数年で銀行と証券会社の垣根はずいぶんと低くなり、投資を後押しする政策もいろいろと打ち出された。一般庶民が投資に触れる機会も増えた。ツールの進化によって、投資だけで生活でしていくデイトレーダーという職業(職業と呼ぶのかはさておき)も生まれた。それでも、貯金は美徳であり、投資なんてギャンブルはすべきでないと頑なに思っている人はまだまだ多い。この国にまともな金融教育が存在しなかったからなのだろうか。

そんななか、政府と日銀は貯金を使ったギャンブルを始めた。貯金は美徳と信じている人はこの意味を理解しているだろうか。貯金から投資へ、のかけ声とともにここ十数年地味に政策を打ち出してきたのは果たして今回の伏線だった、と言ってもいいような気がする。

政府も日銀も残酷なことをやろうとしている。でも、多少なりとも予告してやってくれてるだけまだマシだ。指をくわえて見ていながら後で文句だけ言うのはカッコ悪いしなんの解決ももたらさない。それぞれが自分にやれることをやるしかないのではないかな。それでも頑なにスタンスを変えられない人はもうしょうがない。環境の変化に対応できなければ絶滅してしまうのは、動植物の世界の理なのだから。