破裂前夜。

昨年大みそかに、2015年はどこかで揺さぶりがくると思っている、と書いたが、案外早くにその時がやってくるかもしれない。

シナリオの狂いは原油安から始まった。原油安の発端は、シェールガスの普及を潰そうとする中東産油国の思惑や、ロシアの勢いをそぐためなどと言われてきたが、ここにきて原油の密売で資金を稼ぐISILへの対抗策として、世界は原油相場を落とす方向で一致団結している。どこが底になるかはわからないが、しばらくは今の安値圏をウロウロすることだろう。

原油安は日本にとっては良いことのはずだが、その余波として日銀が目論んだインフレ政策は破たん間近となっている。政策を止めれば円安は止まり、買い支えていた資産価格も反転下落する。かといって無理に目標を達成しようとすれば、日銀への不信は強まるばかりだ。もはや日銀政策は前にも後ろにも進めない状況に陥っている。

頼みの綱の米国も怪しい。こちらもまた、金融政策の出口を目前にして難しい舵取りとなっている。一時期と比べれば明らかに景気が失速しているなかで利上げを強行するのはリスクが高い。かといって利上げしない、となれば、利上げを織り込んで上がっていた資産価格は落ち込んでしまう。

結局のところ、マーケットは実態よりも膨らんでしまっていたということなのだと思う。膨らんだものが一度どこかで破裂しなければならないのはマーケットの宿命だ。