クマー!
8/4の記事で引退の瀬戸際にあって素晴らしい将棋を指した熊坂五段のことを書いたが、その後の彼の活躍ぶりは特筆すべきものがある。直近で7連勝を挙げ、今期成績を10勝4敗とした。前回規定の成績を残さなければ今年度で引退と書いたが、今期残りを7勝7敗、もしくは7勝6敗で乗り切ればその条件をクリアする、というまたとないラストチャンスが訪れている。
なかでもきょうの王位戦予選、森内竜王との対局は圧巻であった。意表を突く先手一手損角換わりから、中盤でペースを握る。終盤は森内竜王の妖しい勝負手が炸裂し、厳しい追い上げをくらうも、落ち着いて受け切り、最後は鮮やかな長手数の詰みにきって取った。引退のがけっぷちにある棋士が、現役タイトルホルダー、羽生四冠と数々の名勝負を繰り広げてきた森内竜王から勝利を挙げたのだ。熊坂五段ことクマーファンで溢れる2chのスレッドは平日とは思えない速さで埋まっていき、一時Twitterのトレンドワードに「クマー」が上がるほどの盛り上がりとなった。
さぁ、今年度末まで残り10数局。一戦ごとに盛り上がるクマーフィーバーを、がけっぷちから這い上がろうとする棋士の生きざまを見ていきたい。