リトルネロ。

今まで誰もやろうとしなかったこと、そんなことをやっても失敗するだけだ、という先入観で誰もが避けていたことは、案外世の中に転がっている。

特に金融の世界にはまだまだそういったものが多い。コンプライアンスの縛りや過去の失敗を引きずっていることもあるのだろうが、少なくないプレーヤーがここにきてより保守的になってきている。金融の力を必要としているマーケットがありながら、その多くは放置されている。

そうしたマーケットはそもそも誰もやろうとしてこなかったので、競争が存在しない。なので利益も上げやすいし、お客さんにも喜ばれる。

自分自身が取り組む仕事として、徐々にこうした新しい試みを増やしていきたいと思っている。むろん一線を越えてしまってはいけないし、今までにないリスクを取っていくことへの不安や緊張感もあるのだけど、放置されていたところに金融の手を差し伸べたり、自分ができない場合でもそれができる人につなげていくことに、大きな価値があると思っている。

国内のマーケットが縮小して、資金調達の需要が減っていると一般的には言われているけれども、先入観を排除してちゃんと探せば、お金を必要としているところはまだまだある。それに目を背けているプレーヤーがあまりにも多い現状が歯がゆいし、失望もしているけど、だからこそやるべきことが残されていると思うべきだし、つなげられるものはつなげていきたい。

失敗してしまったら辛いし、そもそも自分が辛いというだけでは済まされないことでもある。でも、だからといって諦めるよりは、チャレンジしたい。この業界は他の業界と比べても、チャレンジするという要素が圧倒的に少ないと思う。

代わりのきかない人材になれ、とよく言われる世の中になったけれども、どうも自分にしかない能力を身につけろ、だとか責任ある仕事を捕まえろ、という文脈でしか伝えられていないように思う。僕にはその才能もないし、正直言って絶えず努力を重ね続ける精神力もない。その代わりに、誰もやろうとしなかったこと、皆が先入観で避けていたことに狙いを絞って、自分しかやらないこと(けして自分にしかできないこと、ではない)をやっていこうと思う。結局のところ自分はあまのじゃくな性格なので、そういうのが性にあっているし、こんな自分を大目に見てくれる組織の下か、自分の身ひとつで踊っていくしかないだろうな、と思っている。