うつくしま、ふくしま。

昨日は名古屋で、きょうは福島に出張。出張ばかりしているとメンタルは楽だがやはり肉体的には疲れてくる。デスクワークのことを考えると週1〜2日くらいがちょうどいいのだが。

ということできょうは福島市に震災以降ではじめての出張。那須あたりは先月も行っているのだが、やはり新幹線が福島県にさしかかるといささか気が引き締まるのを感じる。この時期であれば水田から青々しい稲が顔をのぞかせているはずなのだが、ただ水が張られたままになっているところも多い。東側に連なる山の向こうの世界に想いを馳せるとなんとも言えない気持ちになる。西側に見える安達太良山を見ても、昨年の11月に登ったことが想い起こされる。

福島駅について、現地の方々と落ちあい、2時間半ほどでお仕事終了。逆に現地の方々から、「みんな普通にしていてびっくりでしょう?」とか「防護服持ってこなかったの?(冗談ね)」などと話を振られる。現地の方々はもう既に現実を受け入れていて、所与の状況のなかで最善を尽くすしかない、という諦観に至っているように思える。いわゆるホットスポットと呼ばれる場所が首都圏のなかでもあるように、福島市内でも風の通り道によって放射線濃度が全然違うらしく、福島駅の西側に関しては、都内とほとんど数値が変わらないエリアもあるそうだ(加えて、アスファルトやコンクリート上の放射性物質は既に大半が洗い流されている)。学校の校庭にもブルーシートがかけられ、土の入れ替えの作業なども行われていた。

そのように、目に見えない放射能の恐怖というものはあるものの、福島市自体は震災前よりも景気が潤っているように見えた。人通りも、他の地方都市と比べてそれほど少ないようにも見えない。沿岸部から移住してきた人が多く、人口は震災前に比べて2〜3万人増えている。既に補償金を受け取った人も多く、飲み屋や夜のお店などは売上が軒並み前年同月比150〜200%を記録しているようで、これはまさにプチバブル状態ではないか。移住してきた人たちの働き場が手当てされれば、この好況はしばらく続くとのことであった。かりそめの好景気ではあっても、良い傾向ではないかと感じた。

もう3.11以前の世界に戻すことはできないのはわかりきっている。だからこそ、前を向いて、新しい発想でフクシマを再構築していかなければならないのだ、と強く感じた。