中学受験②。

そして、中学受験で成功したからといって人生が成功するわけでもないというのも真実である。自分と同じ時期に中学受験をして合格していった子のなかでも、高校を中退した子も、行方知らずの子もいる。どこかのタイミングで挫折をしてしまって引きこもりになってしまった子もいる。社会人になって大成するのは中学受験で成功する子とは少し違っていると言ってもいい。男の子は特に、自分の実力がぐんと伸びる時期は遅れがちで、自分の場合はそらくは17歳くらいだったと思う。周りでも、20歳を過ぎるまでは全然パッとしなかった子が、今ではいっぱしの経営者になっていたり、わからないものである。スイッチが入るタイミングは本当に人それぞれで、小さい頃に神童と言われても、それだけで大人になって成功ができるわけではない。むしろ勉強以外に没頭していたなにか(スポーツならばわかりやすいがそうでないことも往々にしてある)がポイントになって人間ひと皮むけることもあるのだ。

そういうことを考えると、中学受験は本当にひとつの参考指標でしかなくて、それに固執しすぎるのはたいへんに危険なことである。勉強が好き、という純粋な心を大切に、人生を泳いでいくための基礎的なものの考え方を身に付けるという意味で、中学受験はその気があるならばやるべきだとは思うけれども、それ以上のものでもない。