王座戦第4局、藤井聡太竜王名人の逆転勝ち。これで史上初の八冠独占となった。改めて、偉業である。
永瀬拓矢王座も本局では序盤から主導権を握り、付け入る隙のなさそうな堅陣を作り上げた。じりじりと削りながら押し込んで行く永瀬将棋の真骨頂かと思われたが、藤井も取っ掛かりのなさそうなところから、ある種直接勝負に関係のなさそうな押し引きを通じて徐々にペースを握っていく。気づいたら喉元に刃を突きつけられている。
ところがそんな藤井も人の子、最終盤にもう一度形勢はひっくり返ったが、そこから永瀬が最後にチャンスを逃し、再々逆転勝ち。
永瀬、投了。これで負けたらもう仕方ない、やりようがない、と本当は言いたかったところだが、永瀬にとっては悔いが残るだろう。髪を掻きむしる姿、これこそが人間どうしの闘い。そして、そんな間違いを起こさせた幻惑の指し回しこそが、藤井将棋の真髄なのだろう。
それでも謙虚なコメントが並ぶ藤井八冠。どこまで強くなるのか、底がしれない。