暴力。

スイミングにお迎えに行ったところ、息子が泣いて出てきたのである。聞くと、着替えをしているさなかに誰かに何発か頭を叩かれたのだという。ふいに誰かに暴力を振るわれる経験なんて今の子はそんなにないだろうな、ということを思った。

自分自身が子どもだった頃はまだまだ取っ組み合いのけんかも珍しくなかったし、なによりもきょうだい喧嘩をよくしていた記憶がある。今でこそ消えてしまったが、子どもの頃はこめかみに傷も残っていた。いじめっ子がクラスの子をいじめるようなこともまだまだ普通にあるご時世で、暴力をふるわれないかソワソワしていた記憶もある。

今はそんな行動をするような子もほとんどいなくなってしまったのだろう。小学校も中学校もいじめはかなり減り、優しい子が増えている。だからこそ、暴力を振るわれることに免疫がついていない子どもも多いのだと思う。

もちろん、そんな怖かったり悲しかったりする経験はないにこしたことはない。しかしながら、世の中にはいきなり殴ってくるような人もいるのだ、ということを知っているということには意味がある。そういう世界を知ることも含めて成長なのだと思っている。