細くなる。

仕事柄いろんな旅館やホテルを見に行っているのだが、なんというか本当に日本は余裕がなくなってきているのかもしれないな、と思わされることが多い。金融機関や投資家目線で組み立てられた仕様の案件は、確かに机上の計算ではまわるのかもしれないが、泊まる人の感覚を無視してしまっている気がしてならない。オペレーションを工夫することで、人の感覚を錯覚させながらある程度の利益は出せるのかもしれないが、それはあくまでも小手先のやり口でしかないな、とは思っている。


どれもこれも、本物を知らないということも大きいのだろう。それは自分自身も同じである。一流のホテルに泊まって一流のサービスを受けたことがなければ、一流の人を相手にしたビジネスは組み立てられない。昔はそのことがよくわかっていたから、ホテル業界の新入社員にはとにかく社費ででも、いろんなホテルに泊まらせにいったり、ユーザー目線からいろんな体験をさせていた。いまはそういった余裕はもはやないのだろう。


ホテル・旅館の業界だけでなく、いろんな業界で同じことがおこり、線が細くなってきている。