小雨と大雨。

夕方になって大雨が降り出した金沢の街を、新幹線はするすると滑り出す。北陸への一泊出張を終えての帰路だ。ため息を吐いてシートにおさまる。

泊まりで北陸に来るのも久しぶりのことである。今回もいろんな人と会ったが、北陸の人はみな穏やかだ。昼間には悪い知らせを立て続けに受けて落ち込んでいた心も、いくぶん回復した。

富山での泊まりの夜は同僚と飲みに行った。ひところよりも、社内の人と夜の席を囲むことが増えた。夜の席ではいつも、これから社内でどうやって協調していくか、営業体制はどうあるべきか、という話になる。

もともと僕も含めて個人主義者の集まりでそれなりにうまく回していたところに、組織として動く論理を持ち込んだことで、社内のいろんなところに軋みが出ている。誰もが「こんなはずじゃなかった」というような違和感を抱えている。いったいこの違和感がどこに落ち着いていくのか見当もつかない。

喧々がくがくの議論を経てヒートアップした頭を冷ますように、とぼとぼとホテルまでの道を歩く。小雨に打たれて、たぶん僕はうかない顔をしているだろう。