乱気流の時代。

先月から日経産業新聞ケネディクス顧問の川島さんの半生記が綴られている。半生記といっても、大半は不動産ミニバブルがはじける前夜の2007年からリーマンショックを経てありとあらゆる流動性がストップする2009年ごろまでの息が詰まるような時間が描写されている。


あの頃の自分は20代後半で、守るべきものも何もなかったし、まあ会社が潰れようが裸一貫からやり直せばいい、むしろいまが裸一貫なのだから、という感じで飄々と過ごしていた。それでも、今月の給与は果たして支払われるだろうか、という不安はあったし、この先世界はどうなっていくのかなあ、という思いも抱いていた。


中堅で脂の乗っていた世代や、川島さんのようにいち企業のヘッドを司っていた人たちはもっと大変だったことだろう。東日本大震災のあとや、コロナ禍も大変なことであったのは間違いないが、21世紀に入ってから経済的に最も混乱していたのは2008年から09年にかけてということになるだろう。


果たしてこのあとに、これまで以上の混乱は来るのだろうか。金融システムは強固になった。それでも、想定しえない世界の変動は訪れるのだろうかと想像しながら、連載の結末を楽しみにしている。