斎藤佑樹選手の引退セレモニーを見た。通算11年の成績だけをみれば、一軍でセレモニーをやってもらうような選手ではない。それでも、球場のチケットは早々に完売し、2軍選手も集まっての心温まるセレモニーになったことこそが、彼の人望を表しているし、野球選手として結果を残すこと以外にも、球界にもたらしたものがあったという証左であろう。
苦しいことばかりだったろうし、なぜこんなに上手くいかないのだろう、身体が思うように動いてくれないのだろう、という葛藤の連続だったに違いない。それでも、斎藤佑樹という野球人が歩んできた道のりは曇ることのない胸を張れるものだろうし、周りの人に恵まれ、また周りの人が手を差し出したくなるような魅力を持った人物なのだと思う。かつて、大学を卒業するときと同じ「仲間」という言葉を、この引退のタイミングでもまた持ち出してきたところに、彼の野球人生が象徴されている。
そしてここからが、彼の人生が再び輝きだす時間なのだと、確信している。苦しい経験をしたからこそ伝えられること、掛けることのできる言葉がある。