Z会のペンネーム。

ようやく夏らしくなってくるといろんな昔のことを思い出す。小学生の頃に区民プールで泳いだこと、父親の郷里の敦賀に里帰りしたこと、蒸す体育館のなかでの部活動、高校野球、文化祭、キャンプ、学生時代だけでもいろいろあるけれども、昨日は高校3年生の受験勉強のことを思い出した。


本当に気持ちを切り替えて受験勉強に臨みはじめたのは、夏休みに入って暑さが本格的になりはじめた頃だったと思う。いちおう予備校にも通っていたけれども、予備校の自習室よりも、高校の自習室のほうが雰囲気が緩くなくて、集中しやすかった。戦後ほどなくして建てられた旧校舎で、壁は年季のはいった濃い茶色のベニヤ板だった。


志望校はセンター試験対策を除けば、これと決まったテキストもなくて、ひたすら教科書や参考書の基本事項を体系的に理解して、それを自分なりに文章としてまとめることの繰り返しだったと思う。唯一道標になるのはZ会のコースだった。毎月、添削問題の順位が会報に載るのだが、そのペンネームをみて、こいつも一緒のキャンパスで過ごすことになるのかな、と想像したりしていた。彼らがどうなったか、ついぞ答え合わせすることはなく大学生活も始まり終わり、それから長い年月が経っている。