散髪。

実家の近くで髪を切った。隣町まで自転車を駆る。川をトンネルでくぐって、商店街を突っ切るとお目当ての理容室だ。

小さい頃から通っていた理容室は、実家から歩いて2分くらいのところにある。たいていの友だちも同じところに通っていたはずだ。まだ千円カットなどという業態のなかった頃のことである。

父親の方針だったのか、小学生の頃はかなり短髪にしていた。5年生くらいの頃だったか、もう髪を短くするのはイヤだと親に訴えたような記憶がある。それから、いつまで近くの理容室に通っていただろうか。もう記憶にない。

高校2年生になると、かなり髪を伸ばしたり、ブリーチもするようになった。新居の風呂場で薬液を塗った記憶がある。母親は面白がって手伝ってくれたが、おばあちゃんがおかんむりであった。あれもまたひとつの思い出だ。

丁寧にカットしてもらい、顔そりもしてスッキリと店を後にする。もうとっぷりと昏れた。はるかに昔のことではあるが、ひとつひとつが今につながっている。やけに首すじが涼しくて、夜風が身にしみる。