戻らない。

3月や4月もしくはそれ以前に録画した番組を見返したり、子どもが書いた当時の日記を見返したり、当時の写真を見たり、そんな機会のたびに、あああの頃に戻れればなあ、という夢想をしてしまう。あの頃に戻れたら、こうやってこう行動しておくのになあ、と考えにふけってしまう。


もちろんそんなことはもう不可能なわけだ。それでも、不可能と分かっていても脳はそんな思考に逃げてしまう。夢想している間は、少しでも良い気分のままでいられるのだ。時間はどうやったって巻き戻らない、という現実から逃避していられるのだ。


それとともに、人の心は時間が経てば相応に癒えてくることにも気づく。中身は全然別とはいえ、2年おきくらいに僕もいろんなことで傷ついてきたが、時間とともに乗り越えてきた。


いつか僕も、時間はもう戻ることはないんだ、と腹から理解する日はくるだろうか。そうして、一歩を踏み出せるだろうか。なんのために生きるのか、本来の使命にたどり着ける日はくるだろうか。そして、どんな失敗にも意味があったと、思い返せる日はくるだろうか。