拳。

悔しいことがあった夜、眠りにつくと悔しいことの原因となった人が夢に出てくる。内容はもうよく思い出せないが、胸がすっとするようなことが起こった途端に、ハッと目が覚める。夢から現実に戻って、事態はなにも変わっていないことに気づく。汗をびっしょりかいている。おしっこにいきたくなっている。


ベッドから身体を起こして、そのベッドに思わず拳を打ち付ける。バフっと力ない音がする。そうしてトイレを済ませてまた身体を横たえるが、もう眠れない。ネットサーフィンをしたり、将棋を指しているうちに空が白みはじめ、いつのまにか鬱屈とした気持ちがさーっとどこかへ消える。朝までもう少し眠ろうと目を瞑る。


二度寝をして目を覚ますと、先ほどのモヤモヤは消えていた。また新しい一日がはじまる。このまま寝ているわけにはいかない。いいときも、そうでないときも、淡々と日々は続くし、やるべきことは目の前に積み上がっている。ひとつずつ、まだ時間はある。