薄明。

出張で朝早い日に限ってなかなか寝付けなかったりする。アラームが鳴り、もう少し布団にくるまっていたい気持ちと一緒に身体をひっぺがす。寝不足なので、あまり食欲もわかず、牛乳を温めて喉に流しこむ。

万が一にも新幹線に乗り遅れると面倒なので、スケジュールには余裕を持たせてあるので、のそのそと動いて準備をする。ガランとしたリビングに、秋深い早朝の冷気が吹き込んでくる。風が身体にあたると、体調があまりよくないことが自覚される。

それでもほうほうのていで準備を済ませて家を出ると、空が白みはじめて少し気分もあがる。駅までの下り坂を降りはじめて、少しずつ脚にも力が入ってくるのがわかる。

いつもと逆方向の電車に乗る。電車のなかに蓄えられた暖気に頭がぼうっとしてくる。新幹線の座席におさまるまでは、シャキッとしていなければならない。ひと駅ひと駅が早く感じるのは、意識が途切れとぎれになっているのかもしれない。だんだんと1日がはじまっていく。