親と子。

この夏、母親が体調を崩した。ことの発端は7月の旅行中に浴室で転倒して腕を骨折したのだが、そのあとも体調が優れない日々が続いた。

なんというか、初めていろいろなことを考える機会になった。もう30代も半ばで、家族ももって、とっくに独り立ちしたような気でいたけれど、いまだに心のどこかで、両親に頼っている部分があるのだなあ、ということに気づかされた。

それとともに、ほかの人も、早い遅いの差はあれどみな、こういう心境に至るのだ、避けて通ることのできないことなのだ、ということにも気づいた。不幸にも大人になる前に親がいなくなってしまう人もいる。心の準備もないままに現実を受け入れなければならないこともあるのだ。少なくとも僕にとっては、恥ずかしながらいままで全く向き合って考えてみることのないことだった。

そんな気持ちを抱えて誰しもが日々を生きているのだと思うと、街ゆく人を見る目も少し変わってくるのだ。