いちご狩り②。

(昨日の続き)僕らはとぼとぼとビニルハウスを出て、農園の受付の方に戻る。未練がましくいちごを何粒かつまんで、申し訳程度に自分の口に押し込み、息子にも勧めるが拒絶される。絶望感にさいなまれながら、万事休すかと思われたその時、奇跡的と言っていいものか、息子の機嫌が直った。

そこからは、気を取り直してビニルハウスに分け入り、3人でいちごを摘む。残念ながら10分くらい時間はロスしてしまったが、その時間を取り戻すかのようにいろんな種類のいちごを食べ続けた。一心不乱にいちごを味わっていれば、不思議と気分は和らいでくるものだ。残り時間がなくなる頃には、なんで険悪な空気だったのか忘れてしまうくらいになった。20分しかなかったが充分お腹いっぱいになって、最後に3人でビニルハウスを出た。そして受付に戻ってジェラートを食べていると、完全に普段の一家に戻っていた。

帰宅し、もともと予定していた客人を迎え、夕方に解散してから、妻と息子は6時間以上、23時まで長い昼寝をした。例によって1時間で目覚めてしまった僕は、1人の時間を過ごしながら、こんな日もあるもんだなあ、と振り返っていた。