ターミナル。
ここ5年ほど訪れることのなかった西方の街に出張。駅前はすっかり変わっていた。雑然とした横丁がどんどん潰されて、真新しいタワーマンションや家電量販店がそびえ立つ。
それでも、旧市街と言うべきエリアに足を向けると、昔と変わらないごちゃっとした街並みが広がっている。いくつかの所用を終えて、時間が余ったので、市街の真ん中にあるバスターミナルにふらっと足を向ける。
大きなバスターミナルにはひっきりなしにバスが排気ガスをふりまいて走り込んでくる。バス乗り場にはナンバーが振られて、見慣れた地名や聞きなれない地名が並んでいる。バスの到着を告げる、一定の調子に乗ったアナウンスがスピーカーから流れてくる。
アジアの街角のバスターミナルとなんら変わらない雰囲気。特にいまの季節は、夏ならではの湿気をまとった空気が身体にまとわりついて、土地それぞれの独特の匂いも運んでくる。五感に響いてくる感覚に、しばし恍惚とする。